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横田 俊英       

オープントップ軽スポーツダイハツ・コペンに乗る

発信操作が難しいマニュアル車

 マニュアルミッションの車は慣れないと発進操作が難しい。その難しさのほどは前項でふれた通りである。排気量660ml(0.66リットル)は最高出力47kw[64PS]/6000rpm、最大トルク110N・m[11.2kg]/3200rpm。という軽自動車の小排気量エンジンの枠でのトルク発生特性のためだろうか。ノンターボの軽トラのマニュアル車はコペンのマニュアルより遙かにやさしい。コペンの1速、2速は、3速4速に上手くつなげるようにするためハイギアー度にしてあるという。これが発進操作を難しくしている。

 マニュアル車は5速トランスミッションである。オートマチック車は4速。この4速はマニュアル操作のような動作をさせることができる「スーパーアクティブシフト付き電子制御4AT」というオートマチック・トランスミッションである。

 私は三菱自動車のFTOで同じようなオートマチック車に乗っていた。「INVECSUスポーツモード5A/T」というトランスミッションであった。普段はオートレンジに入れておき、シフトアップ・シフトダウンを繰り返すときにはマニュアルモードに入れる。三菱のこれは良くできていた。3速で加速するとあっという間に160kmに達する。このときの感触は何とも言えない。

 この「INVECSUスポーツモード5A/T」はマニュアル車そのものの感触ではない。クラッチートの感触とは明らかに違う。シフトダウンしてもそれを感知して作動させるのに何とも微妙な時間のずれがある。隔靴掻痒という言葉があてはまる。それとマニュアルレンジに入れておくと発進時1速でギアが固定されてしまっていてギアアップしない。2000ccで200馬力を発揮する三菱のこの「INVECSUスポーツモード5A/T」は5速マニュアルミッション車より10万円高かった。ダイハツのコペンの場合は「スーパーアクティブシフト付き電子制御4AT」もマニュアル5速トランスミッションも同じ価格である。


コペンの走り

 コペンの5速マニュアルミッション車で峠道をすいすいと走ることは楽しい。オートマチック車だとシフトダウンすべきところでそれをさぼるので車がフラフラする。コーナーではシフトダウンして車速を落として立ち上がりに備えるのが正しいミッション操作である。三菱FTOの「INVECSUスポーツモード5A/T」もこのことをそこそここなしてはいた。しかし何となくしっくりしない。こうした道はマニュアル車の味わいが楽しさになる。

 走りの比較である。三菱のFTOもFFであった。この車は車速が90kmほどになるとハンドルがピタリと安定する設定になっている。車速が益すほどにその安定感が出る。コペンはどうか。車速が増してもFTOのように安定感が出てくる設定にはなっていない。コペンは高速でハンドルを何かの拍子にこじってしまうとその後何秒か左右にフラフラと揺れて収まりが悪い。コペンで高速走行する際にはハンドルをしっかりホールドしておくことが肝要だ。

 峠道ではコペンは三菱のFTOに勝る。車体の軽さは走りで実感できる。コーナーでハンドルを切るとクルリと向きを変える。そのクルリ感はコペンの良さである。スポーツ車の一台ごとにこの感覚は異なるものだ。タイヤのサイズにもよるだろうし、タイヤの性質も影響してのことだろう。走りはすべてタイヤ選びで変わることは事実だ。

 とはいってもインチアップして扁平にすればいいというわけではない。それをするとサスペンションその他とのバランスが崩れることを何度も経験している。私たち素人は足回りをあまりいじらないことだ。せいぜいタイヤを特上のものにすることに止めたい。普通の場合には峠道を攻めるといったって安全のことを考えたら大したことはできない。タイヤはグリップ力か静粛性かのどちらか、あるいはこのバランスで選択することになるだろう。


コペンは早い(景山正美のサーキットリポート)

 ダイハツ・コペンは速い車だ。コペンと乗り比べると同じようなエンジンを積んだスズキ・ジムニーや三菱・パジェロミニのクロスカントリー四駆はかったるくなる。これは車の性質が違うので当然の帰結だ。ワゴンR−RRだってコペンに比べたらかったるい。車の造りが根本的に違うのだ。これは乗り比べての感想。

 コペンは、街中を走っていても高速道路を走っていても何時でもアクセルの一踏みで必要なスピードを出せるぞ、というところがいい。これは軽自動車にはなかなか備わ利に悔い条件である。コペンはこの点に関してはとてもいい。

 レーシングドライバーの景山正美がコペンをサーキットに持ち込んで走行テストをしている。景山正美が走らせたコペンは「リンクサーキット」の軽自動車のベストタイムをいとも簡単に塗り変えてしまった。足やタイヤなどをチューニングしたターボ付き軽自動車よりもノーマルのコペンは早かったのである。[アクティブトップ/5速MT]のコペンがそれである。

 テスト走行した景山正美はコペンにを次のように評価している。(スモールカーマガジン 2003january vol2より)


@レッドゾーンは85000回転からだけど、7000回転を超えると唸るだけだからこの付近でシフトアップしちゃった方が全然速い。ストリートユースの扱いやすい特性の仕上で、中低速回転域のトルクが太いからだろう
Aボディが軽いからトルクは十分という感じ。
Bミッションのギア比もそんなに離れていなくて、うまくパワーを使いこなせる。
Cフィーリングもしっかりしていてハードに扱ってもギア鳴きするようなこともなかくすごく良かった。
D感心したのはブレーキです。ブレーキそのものの効きはいいし、容量的にも充分みたいで周回を重ねてもフィーリングがほとんど変わらなかった。
EABSがものすごくいい感じ。レーシングカーと同じように細かく効いてくれる。これならマジで峠とか攻めても大丈夫でしょう。
F足の感じは若干アンダー気味だけど、急にフロントが抜けるということもなくて予測しやすいアンダーだ。だからかなり走りやすい。
G足がキチンと機能していて、よく曲がってくれる。ボディー剛性も高い。(これスゴク気に入った。久々の花マルの車じゃないかな)
Hカッコいいね。オレさ、黄色って好きなんだ。この色ものすごくスポーツカーぽくていいね。
I足とかボディーの下回りのボディー補強パーツとか、かなり手の込んだ造りだね。
Jルーフが電動っていうのも驚いたね。かなり真剣に、気合いを入れて造った車なんだね。
Kこれスゴク速いよ。昔の軽スポーツモデルと比べたら格段に進歩しているね。
Lエンジンの音いいなぁ。音そのものは小さめなんだけど、1.5リットルターボ時代のF1エンジンの音と同じ感じで、走っていて気持ちよかった。
Mチルトとテレスコピックの付いたハンドルはシートポジションがベストにできるのでいい。シートもホールド性がいい。マツダ・デミオ・スポーツ、プジョー206S16と乗り比べたけれど一番自分の好みのポジションにできて走らせやすかった。
Nコストのこととか居住性のことを考えたらFFが有利なんだろうけれど、どうせ二人乗りなんだからFRで造って欲しかった。
O初雪の降るコースを走ったけれど、身体を動かしているからそんなに寒さは辛くなかった。ヒーターを付けておくと結構大丈夫みたい。ヘルメットも風よけになってくれた。

〈おわり〉

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