日本計量新報 2009年9月27日 (2791号)2面掲載
革新的な製品・システムを提供
人によるミスをなくせる
製薬業界にとって役に立つソリューションになっている理由として、もう1つ挙げられるのが、人為的なエラーの防止です。計量のトレーサビリティも確保することができます。
トップの情熱が開発を進めた
クアントスは、メトラー・トレドの経営トップ自らが技術者と協力して開発を進めてきました。経営の最高責任者と技術者が一緒になって汗を流し、開発してきたのです。ここにメトラー・トレドという会社の特色があります。
そういう会社だからこそ、私も20年にわたってこの会社で仕事をしてきたのです。
経営トップ自らが情熱を持って開発に取り組む姿勢が、メトラー・トレドを計量計測機器の分野でトップリーダーたらしめてきたと思います。
PATやオートケムでも革新的なソリューションを提供
メトラー・トレドにはこれ以外にも、産業用機器やプロセス分析、プロダクト検査などの製品が多数あります。
そのなかからPAT(Process Analytical Technology)を紹介します。
FDA(米国食品医薬品局)の指示のもとで、医薬品などの製造システムは手動による検査から、インラインによるプロセス全体を継続的に検査および監視する方法に変わってきています。
それから、化学製品・生物医薬品に関する強固なプロセスの迅速な開発を可能にするソリューションであるオートケムでも、インライン式粒子計測装置FBRM(粒子径モニタリング装置)などを提供しています。
FTIR(フーリェ変換赤外分光装置)に関しては、In−Situ FT−IR ReactIR装置があり、リアルタイムに化学反応状態のモニタリングを可能にしています。
食品業界向けに衛生面を考慮した設計の計量器を
食品業界にも注目しています。この分野で、われわれの独自デザインの計量器がアピールできるのではないかと考えています。
食品業界向けの計量器は衛生面に配慮した設計をしています。水で丸ごと洗える構造になっています。細菌やバクテリアの繁殖を防ぐことができるメリットがあります。
防水構造では、IP69Kという国際規格(DIN)の最高レベルの認定を受けている製品もあります。
やみくもな拡大はしない
現時点では、日本では小売りはかり関連製品の導入は考えていません。日本市場に我々が持っているすべての製品を投入する考えはありません。
それは日本市場に新しい製品を投入するには、サービスの体制をしっかり整える必要があるからです。そうでなければお客様の期待に応えられません。
サービスネットワークの体制ができてから参入すべきであると考えています。
日本の企業とパートナーを組んでやっていくという選択肢はあり、常に考慮していますが、やみくもな拡大はしないということです。
産業用機器に関しても同じです。慎重な対応が必要です。
産業用機器は長時間稼働しますので、メンテナンスなどのサービスネットワークがきちんと構築されている必要があります。密度の濃い強力なネットワークがどうしても必要です。
ニッチなアプリケーションで、われわれ独自のソリューションを提供していくことが、まずはできることではないかと考えています。
例えば、MMRという非常に分解能が高い産業用計量器ですとか、プロセス計量の分野ではある程度の拡大が望めると思います。
目標はシンプル
人材・組織面の改善はかる
−−今後の目標をお聞かせください。
先ほどから述べていることですが、日本でこれからやっていかなくてはならないと私が考えていることは、非常にシンプルなことです。
まず、現在われわれがやっている事業内容をさらに改善していくということです。メトラー・トレドは世界最高水準の製品をそろえています。したがって、大きな改善目標は人材や組織面の改善です。
それには2つあります。第1に、エンドユーザーやパートナーとのコミュニケーションをよりよくしていくということです。
第2に、サービスの分野でさらに改善をはかっていくということです。お客様やパートナーに最善のサービスを提供していく必要があります。
魔法のアプローチはない
これらの課題に関しては、魔法のアプローチはありません。やらなければならない内容はシンプルです。品質を重視していくということ、それからお客様や人材を大切にしていくこと、そしてこれらを実現するために一所懸命に働く必要があると考えています。
−−ありがとうございました。
(おわり)
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